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道州制とは

最終更新日:
 道州制とは、現行の都道府県制を見直し、10前後のブロック(「道」、「州」など)に再編しようとするものです。
 その概念や内容は統一されたものではなく、これまでも、国、経済界などから様々な提案がなされていますが、現在主に議論されている道州制は、概ね以下のようなものです。
  1. 全国47都道府県制を見直し、地域ブロックごとに広域自治体の「道」や「州」に再編
  2. 国の仕事は外交、防衛などに絞り、その他の事務・権限やそれに要する財源はできるだけ道州に移譲
  3. 都道府県の事務は、その大半を住民に最も身近な基礎自治体である市町村に移譲
  4. 地方分権の推進と国・地方を通じた力強く効率的な政府の実現が狙い

<都道府県合併との違い>

「道州制」と混同されやすいものに「都道府県合併」があります。

 「都道府県合併」は、複数の都道府県が合併することですが、合併しただけでは国から権限や財源の移譲がなされるわけではありません。つまり、広域的な観点からの仕事が行いやすくなるというメリットはあるものの、都道府県の区域が広がるだけで地方分権の推進につながるものではありません。

 これに対し、「道州制」は、都道府県の区域を見直すことに加え、国から道州へ、都道府県から市町村へ、権限や財源を大幅に移譲することにより、地方分権の推進と国・地方を通じた効率的な行政運営を実現し、地域の自主性を生かした自立的な発展を目指すものです。

道州制が議論される背景

 我が国では、人口減少・超高齢化社会の到来やグローバル化の進展など、急速に社会・経済情勢が変化していく中、中央集権型行政システムの課題、都道府県制度の課題、国と地方の財政問題など、現行の行政システムの制度疲労が顕著に現れています。
 この時代の潮流に適切に対応していくとともに、将来に向けた創造的な発展を図るためには、従来の中央官庁主導の画一的な行政システムを地域・住民主導の個性的で総合的な行政システムに切り替える、地方分権の推進が必要です。
 市町村合併の進展などにより、住民に最も身近な基礎自治体である市町村の強化が図られる中、地方分権を加速させる新たな広域自治体のあり方として、道州制がクローズアップされています。

  1. 中央集権型行政システムの課題
    • 国による全国一律の施策では、個性豊かな地域社会の形成、少子高齢化・人口減少社会への対応など、新しい時代の諸課題に対する迅速・的確な対応が困難
    • 国は地方で処理できる国内行政に対しても大きな力を注いでおり、複雑化する外交や防衛、安全・安心の確保など、国でなければできないことに注ぐべき力をそがれている
  2. 都道府県の課題
    • 市町村合併の進展等が、都道府県の位置づけや役割に大きな影響を与えている
    • 住民の生活圏や経済圏が拡大し、環境問題、交通基盤整備等、都道府県の区域を越える広域行政課題が増大している
    • 経済のグローバル化や地域間競争が激化する中、既存の都道府県単位ではロットが小さい、あるいは力不足
  3. 国と地方の財政問題
    • 国や地方の多額の長期債務の不安が指摘される中、国・地方を通じた簡素で効率的な政府の構築が求められている。

道州制の必要性

 道州制の必要性については、様々な意見がありますが、九州地方知事会と九州の経済界が共同で設置している九州地域戦略会議では、九州における官民の共通認識として、道州制を目指す理由を以下のように整理しています。

  1. 九州を活性化し、住民の暮らしを豊かにする

     道州制導入の究極の目標は、九州を活性化して人々の暮らしを豊かにすることです。
     地域の文化や歴史、特性に根付いた地域づくり、生活空間づくりのような施策はその地域に暮らす人々に身近な行政でなければできません。
     九州の活性化と住民満足度を高める政策を実現していくためには、道州制を導入して九州が一体となり、産業政策や社会資本整備などに関する権限と財源を持つとともに、一つの国に匹敵する経済圏としてスケールメリットを発揮できるシステムを構築することが必要です。

  2. 中央集権システムを改革する

     グローバル化が急速に進み、人々の価値観が急速に変化していくなかで、これまでの中央集権システムでは、激変する国際社会への対応や東京一極集中の是正、個性豊かな地域社会の形成、少子高齢化・人口減少社会への対応など、新しい時代の諸課題に対する迅速・的確な対応が困難になっています。
     そこで、国を補助金配分などのこまごまとした事務から解放して、その役割を外交、防衛、通貨管理など主として国家の存立に関わるものに重点化することで、国家として必要な問題解決能力を高めるとともに、国内の行政に関する役割の多くを地方に移譲し、地方のことは地方に任せるシステムを構築することが求められています。道州制の導入は地方分権を推進するための有効な手法です。

  3. 市町村制度と都道府県制度を改革する

     近年、急速なグローバル化に伴って住民や企業の活動圏が拡大するとともに、環境問題や少子高齢化・人口減少社会への対応、高速交通基盤整備など、都道府県や市町村の区域を越える広域的課題が増加しています。しかしながら、現在の都道府県や市町村は、機能・規模の両面で時代に合わなくなり始めています。
     これらの問題に対応していくためには、道州制を導入して、市町村は基礎自治体として住民サービスの大部分を担い、道州は広域自治体としてより専門的、広域的、戦略的な機能を担うことを基本とする新しい地方自治の姿を目指すことが必要です。

  4. 国と県の二重行政を解消する

     現行制度の問題点として、国と県の二重行政や、許認可などの申請手続きの煩雑さによる行政の非効率性が強く指摘されています。
     同じような施策は一本化し、窓口を統一して、効率性、有効性を高めることが求められています。その際には、国の役割は国家的見地から行うべきものに重点化し、地域に密着した行政サービスは企画立案から管理執行までを一貫して地方が担うようにすることが必要です。
     このような国と地方の抜本的な役割分担の見直しを実現するためには道州制の導入が必要です。

  5. 国と地方の危機的な財政状況を改善する

     現在、国と地方の財政は危機的な状況にあり、国と地方の双方が徹底した歳出削減を断行し、持続可能な財政システムを構築することが求められています。
     そのためには、道州制の導入を通じて、国と地方の役割分担と財源配分のあり方を見直し、大幅な税源移譲によって地方自治体の税収と歳出の乖離を縮小し、地方自治体における財政の自己責任を高めていくことが重要です。
     同時に、地方財政の透明性を確保し、住民のチェック機能の働くシステムを構築していくことも必要です。

  6. 九州が東アジアの拠点として繁栄する

     経済のグローバル化の進展により、九州はアジアの都市・地域との厳しい競争に直面しています。
     九州は、一つの国に匹敵するほどの人口と経済規模を有するなど優れたポテンシャルを持っていますが、各種の規制等の存在や海外との交流が各県単位で行われていることなどから、そのポテンシャルを十分に生かすことができていません。
     九州を企業活動の舞台としてアジア・世界に提供し、「九州に行けば豊かになるチャンスがある」という地域にしていくためには各県単位ではなく九州が一体となって魅力あるマーケットを形成し、海外にアピールすることが極めて重要です。
     国の全国一律・画一的な政策によるのではなく、九州のことは九州が決め、独自の国際交流を展開して、東アジアの拠点として繁栄するためには、道州制の導入によって地域の創意工夫を生かすことのできるシステムの構築が必要不可欠です。

道州制導入に向けた課題

 道州制は、都道府県だけの問題ではなく、市町村や中央政府を含めた国全体のあり方を抜本的に見直す大きな改革です。そのため、検討していくべき問題や解決していくべき課題は多岐にわたりますが、特に、次のような点について、議論を深めていく必要があります。

  1. 地方の役割分担やそれに応じた税財源など、様々な制度設計についての具体的検討
  2. 国民的議論の喚起と道州制に向けた機運の醸成
  3. 政府・国会などの主体的取り組みとリーダーシップの発揮
  4. 分権型社会の担い手である地方自身の主体的な検討・取り組み
  5. 「政策連合」などによる九州各県の共同体としての共通基盤づくりや共同体意識の醸成

 九州地方知事会としては、「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」 を設置し、また、九州地域戦略会議においては、「道州制検討委員会」別ウィンドウで開きます「第2次道州制検討委員会」別ウィンドウで開きますを設置して、道州制についての検討を進めてきました。

道州制の検討状況

 九州では、九州地方知事会と九州の経済4団体が設立した、九州地域戦略会議において、平成20年10月に道州制の「九州モデル」を策定し、平成21年6月には、 「九州が目指す姿、将来ビジョン」及び「住民及び国の関心を高めるためのPR戦略」(PDF:414.2キロバイト) 別ウィンドウで開きますをとりまとめました。
 なお、道州制については、全国知事会、日本経済団体連合会等においても検討が行われています。
 平成24年12月の政権交代以降、国において再び道州制に係る議論が活発化しています。
 九州地方知事会では、こうした動きに対応して、九州地域の活性化と住民福祉の向上を第一に、地方の立場から提言を行っています。

 ・ 分権型社会の確立に向けた取組について(平成26年6月)(PDF:92.5キロバイト) 別ウィンドウで開きます
 ・ 分権型社会の確立に向けた取組について(平成25年11月)(PDF:112.2キロバイト) 別ウィンドウで開きます
 ・ 分権型社会の確立に向けた取組について(平成25年6月)(PDF:125キロバイト) 別ウィンドウで開きます
 ・ 分権型社会の確立を目指して(平成25年1月)(PDF:123.4キロバイト) 


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